結婚準備の一環として行われる「結納」。その中でも、結納返しについて疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。結納返しは、両家の絆を深めるための大切な儀式であり、贈り物をお返しする一環として行われるものです。しかし、具体的な内容や相場、どのようなマナーが求められるのか、わかりづらい部分もありますよね。
本記事では、結納返しの意味やその背景、一般的な相場、さらに失礼のないためのマナーをわかりやすくご紹介します。結納返しを通じて両家の関係が一層和やかに築かれるよう、ぜひ最後までお読みください。
結納返しとは?
結納へのお礼としてお返しする
結納返しとは、いただいた結納品や結納金に対して感謝の意を込めてお返しをすることを指します。「返しのし」「土産のし」とも呼ばれ、結納に対するお礼の意味合いがあります。
近年では結納自体が簡略化されているため、結納の当日に結納返しを行うケースが増えています。ただし、もし別日に結納返しを行う場合、結婚式の2週間前までに済ませるのが一般的です。
お返しには現金や結納品を渡す
結納返しは、現金や結納品で行うのが一般的です。現金の場合は、「御袴料(おんはかまりょう)」と表書きした祝儀袋に包んで渡します。品物を贈る場合は、結納品に目録を添えてお返しする形になります。
結納返しの相場
結納返しの相場は地域によって異なりますが、平均的な目安としては10万円~20万円が一般的です(参考:全国結納センター)。
関東では「半返し」が一般的
関東地方では「半返し」という慣わしがあり、結納金の半額をお返しするのが一般的です。例えば、結納金が100万円の場合、50万円を結納返しとしてお返しします。
関西では「1割返し」や「返しなし」が多い
一方、関西地方では結納返しの金額が少額で済むケースが多く、結納金の約1割程度、もしくは結納返し自体を行わない場合もあります。例えば、結納金が100万円の場合、10万円程度のお返しが目安となります。
結納返しの額は地域性や家ごとの考え方に左右されるため、具体的な金額を決める際には、両家の親同士が相談して決めることが重要です。
また、最近では、結納返しを行わない前提で結納金自体を半額にして贈るケースも増えているため、両家でよく話し合って対応を決めるのが望ましいです。
結納返しの正式な品物
結納返しの本来の形式では、目録や御袴料(結納金のお返し)、結納飾り一式を贈るのが伝統です。
結納品には「紅白」の飾りが使われますが、結納返しには「青白」や「緑白」の飾りを使用することが一般的です
関東式の結納返し
関東式では、男女が「同格」とされており、結納と同等の品物をお返しするのが基本です。以下が、関東式の結納返しに用意する代表的な品物です。
目録(もくろく)
結納返しの品物を記したリストです。
熨斗(のし)
あわびを延ばして作ったもの。長寿を願う意味があります。
御袴料(おんはかまりょう)
男性側が贈った御帯料(おんおびりょう)へのお返し。昔は袴を贈りましたが、現在では現金やスーツを贈ることが多いです。
勝男節(かつおぶし)
鰹節を贈ります。強さを象徴し、「勝ち魚」という意味を持っています。
寿留女(するめ)
スルメは長寿や幸運を象徴し、末永い幸せを願います。
子生婦(こんぶ)
子孫繁栄や子宝に恵まれることを願う昆布です。
友白髪(ともしらが)
白い麻糸で、夫婦が長く添い遂げることを願います。
末広(すえひろ)
純潔や末広がりの幸せを意味する白い扇子。必ずペアで贈られます。
家内喜多留(やなぎだる)
昔は酒樽を贈っていましたが、現在では酒代として現金で贈ります。
※地域によって品物の内容や数が変わることがあり、簡略化されて「7品」「5品」「3品」とする場合もあります。
関西式の結納返し
関西式では、男性を格上とする考えが強く、結納返しは関東式に比べて控えめな内容となることが多いです。
目録(もくろく)
品物のリストです。
熨斗(のし)
長寿を願い、あわびを延ばしたもの。
御袴料(おんはかまりょう)
御帯料(おんおびりょう)のお返しで、松飾りを添えて現金またはスーツを贈ります。
柳樽料(やなぎだるりょう)
酒代として、現金とともに梅飾りをつけます。
松魚料(まつおりょう)
肴料として、竹飾りをつけて現金を贈ります。
末広(すえひろ)
純潔や末広がりの幸せを象徴する白い扇子のペアです。
※地域によっては、簡略化して「御袴料」「熨斗」「末広」の3品だけを贈る場合もあります。
近年では、結納を簡略化する流れの中で、結納品の代わりに婚約記念品を贈り合うケースが増えています。例えば、以下のようなものが人気です。
男性からは婚約指輪
婚約指輪は、男性から女性への婚約記念品として最もポピュラーです。
女性からは腕時計やファッションアイテム
女性からは腕時計、財布、バッグなど、実用的でスタイリッシュなアイテムが選ばれることが多いです。また、新婚生活に役立つ家具や家電なども人気です。
このような婚約記念品は、結納をカジュアルにした「顔合わせ食事会」や略式結納を行う場合に、品物として贈り合われることが一般的です。
結納返しは必要?
結納返しが必要かどうかは、結納の形式や家ごとの考え方、地域の慣習によって異なります。そこで、結納返しが必要かどうかを判断する際の3つのポイントを解説します。
結納のスタイルで判断する
結納の形式は、両家の合意に基づいて簡略化される場合があるため、結納返しが「必要ない」ケースも少なくありません。たとえば、以下のようなスタイルが考えられます。
結納金なし・結納品のみ
結納金を省略し、結納品だけを交換するケースでは、結納返しも不要になる場合があります。
結納返しなしを前提とした結納
結納金が相場の半額程度になる場合や、結納返しを省略する前提で簡易な結納を行うケースも増えています。
このように、どのような結納のスタイルにするかによって、結納返しが必要かどうかが決まるため、事前に両家で結納の内容を話し合うことが大切です。
家ごとの考え方で判断する
結納は家と家を結ぶ伝統的な儀式であり、各家庭の価値観が強く反映されます。現代では結納の簡略化や省略が進んでいる一方で、伝統的な形式にこだわる家もあります。
伝統を重んじる家
結納返しをしっかりと行い、格式を保つことを重視する家庭もあります。この場合、結納返しとして結納品や現金を用意することが求められるでしょう。
カジュアルなスタイルを希望する家
一方で、形式にこだわらず、顔合わせ食事会などを通じて両家の親睦を深めることを優先する家庭もあります。こうした場合、結納返し自体を省略しても問題ないことが多いです。
どちらの考えが「正しい」ということはなく、両家の意向を尊重しながら、譲歩し合ってベストな形を探ることが重要です。
地域の傾向で判断する
結納は地域ごとに異なる文化や慣習があり、結納返しに関しても大きな違いがあります。
関東式
関東地方では、男女を「ほぼ同格」と見なす傾向が強く、結納返しは結納金の半額程度をお返しする「半返し」が一般的です。ただし、結納金を抑えて結納返しを省略するケースも増えています。
関西式
関西地方では、男性を「格上」とする文化が根強く、結納返しは1割程度のお返しや、返しを省略することが多いです。
東海地方・北陸地方
これらの地域は、関東式と関西式の文化が混ざっているため、結納返しの方針が家庭や地域ごとに異なります。
もし、両家が異なる地域に住んでいる場合は、女性側の地域の慣習に従うことが一般的です。ただし、両家で相談して、地域の習慣をベースにどのスタイルを採用するかを決定するのが良いでしょう。
結納返しは、結納へのお礼として行う儀式ですが、現代では結納の形式が多様化し、結納返しが必ずしも必要ではないケースも増えています。結納返しをするかどうかは、両家でしっかりと話し合い、希望や状況に合った形で進めることが大切です。
まとめ
結納返しは、結納に対する感謝の気持ちを表す大切な儀式ですが、地域や家庭によってその形式や金額には大きな違いがあります。結納返しが必要かどうか、またその具体的な内容については、両家でよく話し合い、地域性や家庭の経済状況を踏まえて適切に対応しましょう。
尚、結納の形式やポイント、地域ごとでの違いをまとめた記事もありますので、よければ合わせてご覧ください。
コメント