結婚が決まると、次に頭を悩ませるのが「結納金」の額です。結納金の金額については「どのくらいがふさわしいのか」「自分たちに合った額はどれくらいか」と、さまざまな疑問を抱くのではないでしょうか。金額に関するマナーや地域差も気になるところです。
この記事では、結納金に関する疑問を解消し、最適な額を決めるために必要な情報をわかりやすく解説します。具体的な内容は以下の通りです。
- 結納金の相場
- 相場を基にした金額の決め方
- 結納金を決定する際のマナー
- 「結納金なし」「いらない」と言われた場合の対応
結納金の適切な額を考える際に、ぜひ参考にしてください。
結納金の相場は「100万円」
結納金の相場として最もよく挙げられるのが「100万円」です。なぜ100万円が好まれるのでしょうか。それにはいくつかの理由があります。
キリの良い金額
「1本」という表現が使われるほど、「100万円」は数字としても端正で縁起が良いとされています。日本文化において、こうした数字の区切りが重視されることは多く、結納金も例外ではありません。
花嫁衣裳の準備費用としての歴史的背景
結納金の歴史を紐解くと、元々は「御帯料(おんおびりょう)」や「帯地料(おびじりょう)」など、花嫁の衣裳を納めるための現物支給が主流でした。時代とともに「現金で衣裳を準備してください」と形式が変わり、衣裳代に見合った額が「100万円」とされたことが背景にあります。この額は、花嫁衣裳を新調するのに十分な金額として定着したものです。
地域による違い:西高東低
結納金の相場には地域差も存在します。一般的に、関東では「100万円」が標準的な額とされていますが、関西では「100~150万円」と少し高めの相場が主流です。この違いは、地域ごとの伝統や考え方の違いに由来しています。
関東式では、男女を「同格」と見なし、金額もその考え方に基づいています。
関西式では、古くからの男性優位の考え方が残っており、それが結納金の額にも反映されているのです。
このように、結納金の額は地域によって異なるため、双方のご家族で話し合い、地域の慣習や双方の考え方を踏まえて決めることが大切です。
結納金を決める際のマナー
結納金は婚約の重要な儀式であり、慎重に金額を決める必要があります。両家が気持ちよく迎えられるよう、以下の5つのマナーを参考にして結納金の額を決めましょう。
1. 収入や貯蓄などの経済力を考慮する
結納金は、包む側の経済状況に見合った額にすることが重要です。結婚式や新生活など、他の出費も多く発生するため、相場はあくまで参考にし、無理のない範囲で決定しましょう。具体的には、収入や貯蓄と相談しながら、適切な額を設定します。
2. 奇数や縁起の良い数字を選ぶ
日本の伝統では、結婚式や結納において奇数や縁起の良い数字が好まれます。特に「3」や「7」、「8」は吉数とされ、末広がりの「8」などは繁栄を意味するため人気です。結納金にこうした数字を取り入れることで、結婚生活に良いスタートを切るという意味を込めることができます。
3. 両親と相談して決める
結納は家と家を結びつける儀式であり、両親の意向を無視しては成立しません。金額や負担について両親と十分に話し合い、場合によっては親からの支援を含めた上で、適切な結納金を決定することが重要です。特に、結納金の額だけでなく、どのように準備するかも相談のポイントになります。
4. 両家の意向をすり合わせる
結納は両家の協調が大切なイベントです。両家で結納に対する考え方や金額に対する感覚が異なる場合、丁寧に話し合い、双方が納得する形で金額を決定しましょう。特に、出身地や文化の違いがある場合は、地域性に配慮した話し合いが必要です。
5. 地域性や地域の慣習を考慮する
結納金の相場や慣習は地域ごとに異なります。関東では100万円が標準とされますが、関西では100~150万円と相場が異なるため、地域の風習を確認した上で金額を決めましょう。また、両家が異なる地域出身の場合、どちらの風習に合わせるかも重要な相談事項です。
結納金額の目安と事例
少額派でも誠意ある「30万円」
相場よりも少ない「30万円」でも、立派な結納金です。以下のような理由でこの額を選ぶカップルも多いです。
急いで結婚や結納を決めたが、形だけでも結納をしたい
貯金が少なく、結婚式や新生活の費用を優先したい
親の援助なしで自分たちだけで準備できる額にしたい
少額でも、真心を込めて誠意を見せることが大切です。
結納返しをなくして「50万円」
100万円の次に多い額が「50万円」です。特に結納返しを考慮しない場合や、負担を軽減したい場合に選ばれます。
100万円が厳しいので、キリの良い50万円に設定した
年齢や社会的立場に合わせて50万円にした
結納品を充実させたいという先方の要望に従った
全体のバランスを考え、結納品やその他の費用との調整が必要です。
予算100万円のうち「70万円」
「100万円」の相場を少し下回る「70万円」は、結納金に婚約指輪の費用を組み込んだり、予算を調整する際に選ばれることが多いです。
結納全体の予算が100万円で、そのうち婚約指輪に30万円を使った
縁起の良い「7」を意識して決めた
このように、個々の予算や収入に合わせて調整できます。
縁起の良い「80万円」
「8」は日本で末広がりの縁起の良い数字とされ、結婚に関わる金額として好まれます。
「80万円」で、両家や新生活が繁栄することを願って設定
相場の「100万円」
シンプルに相場を参考にしたい場合、最もポピュラーなのが「100万円」です。
地域の相場や家族、親戚の実績に基づいて決定
札束を帯付きで渡す粋な形式が好まれた
「100万円」は全国的な平均相場として根強い人気があります。
格式を重んじて「150万円」以上
関西では100万円より高額な「150万円」が一般的な場合もあります。伝統や格式を重んじる家庭では、さらに多額の結納金を用意することがあります。
伝統的な正式結納を行うため
長男の嫁を迎えるにあたり、特別な待遇として多く包む
婿養子を迎える場合は相場の2〜3倍
婿養子を迎える場合は、一般的に結納金は相場の2〜3倍が必要とされています。
これは、家の後継ぎとして婿養子を迎える場合、その責任の大きさが金額にも反映されるためです。
結納金は「なし」でもいい?
現代では、結納自体を省略したり簡略化するカップルが増えてきており、「結納金なし」や「結納金いらない」という選択肢も一般的になりつつあります。しかし、結納金には地域性や伝統的な意味合いがあるため、これらのケースにおいても、婚約儀式として失礼のない対応が求められます。ここでは、結納金なしでもうまく対応するためのポイントを解説します。
「結納金なし」でも記念だけは残す方法
もし、「経済的に厳しい」「結納自体を行わない」という理由で結納金を準備しない場合でも、結婚を記念する儀式は何らかの形で残すことができます。例えば、以下のような方法が考えられます。
顔合わせの食事会
結納を省略して、両家の親睦を深める食事会を行う方法です。結納金の代わりに、この場で婚約の意思を改めて確認し合うことで、形式にこだわらずとも意味のある記念が残せます。
略式結納
結納品や結納金を用意せず、婚約指輪などをシンボルとして交換する略式の結納を行うケースも増えています。これにより、伝統を重んじながらも、負担の少ない形で婚約を祝うことができます。
このように、結納金なしであっても、記念として形式を残す方法を検討してみると良いでしょう。
女性側から「結納金はいりません」と言われた場合
女性側から「結納金はいりません」と言われた場合、その背景に「結納返し」への不安があることも考えられます。
特に、結納返しについて誤った認識を持っている場合や、経済的な負担を感じている場合には、以下の点を考慮して話し合うことが大切です。
結納返しの負担が大きいと思っている場合
結納には伝統的に「半返し」という慣わしがあり、関東地方では結納金の半額を女性側が結納返しとして用意することが多いです。このため、結婚前に結納返しを準備することが経済的に負担になると感じるケースもあります。
結納金に対する誤解がある場合
古くからの伝統が絡んでいるため、結納金に対して「大きな額を返さなければならない」と誤解していることもあります。もし女性側が結納金を辞退したいと申し出た場合、結納返しの慣わしや負担について丁寧に話し合い、どちらも納得できる形を探ることが大切です。
両家の伝統や価値観に違いがある場合、結納金の有無について丁寧に話し合うことが不可欠です。
地域や家庭によって結納に対する考え方は異なるため、お互いの意向を尊重し、納得のいく形を見つけましょう。
まとめ
結納金には伝統的な相場やマナーが存在しますが、現代では「結納金なし」「結納金いらない」という選択肢も増えています。結納金を省略する場合でも、両家の関係を深めるための配慮や、記念に残る形を考えることが重要です。また、結納金を辞退したいと申し出があった際には、結納返しの負担や誤解に配慮し、慎重に話し合いを進めましょう。結果として、両家が納得し、喜ばしい形で婚約を迎えられることが最も大切です。
尚、結納金の渡し方に関するマナーやお金の包み方のポイントについてまとめた記事もありますので、よければ合わせてご覧ください。
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