香典を用意する際、気になるのが「お金の入れ方」ではないでしょうか。
正しい入れ方を知らないままだと、渡す際に不安を感じることもあるかもしれません。しかし、基本的なマナーを押さえておけば、香典を失礼なく準備することができます。
本記事では、香典のお札を正しい方法で入れるためのマナーや注意点について詳しく解説します。香典袋の使い方に自信がない方も、ぜひ参考にしてください。
香典に適したお札とは？新札と旧札のマナー
香典を包む際には、マナーに適したお札を選ぶことが重要です。ご祝儀と異なり、弔事には特有のルールがありますので、失礼にならないよう確認しておきましょう。
使用感のあるお札が適切
香典には、新札や極端に古いお札ではなく、適度に使用感のある普通のお札を選びます。新札を使用すると、あらかじめ訃報を予測して準備していたような印象を与え、「弔事を待っていた」と誤解される可能性があります。そのため、新札は避けるのが一般的なマナーです。
ただし、新札しか用意できない場合は、軽く折り目をつけることで使用感を演出することができます。一方で、しわが多いボロボロのお札や、破れたお札は不適切とされます。香典袋を汚さないためにも、状態の良いお札を選ぶことが大切です。
旧札の使用は避けるのが無難
旧札（現在発行されていないお札）も一般的に使用可能ではありますが、香典としては避けるのが望ましいとされています。たとえば、千円札では「夏目漱石」、五千円札では「新渡戸稲造」、一万円札では「聖徳太子」などが旧札に該当します。
旧札を使用すると、見慣れないデザインに喪主や施主が戸惑う可能性があります。そのため、特別な理由がない限り、現行のお札を選ぶのが無難です。
香典を入れるときのお札の向き
人物が描かれた方が「表」となり、金額（漢数字）が記載されている方が「上」となります。香典袋にお札を入れる際は、この「表」と「上」を基準に正しい向きで入れることがマナーとされています。
ただし、地域によってお札の向きに違いがあることもあります。特に厳格なルールが設けられていない場合は、お札の上下を逆に入れても問題はありません。
香典の正しい入れ方マナー
中袋ありの場合
中袋がある多当折りの場合、お札の表を中袋の裏側に合わせて入れるのが正しいマナーです。これは、お悔みの気持ちを込めて、香典袋を表から開けたときに「顔を伏せる」形になるためです。
また、お札が2枚以上ある場合は、その向きを揃えて入れるのが礼儀です。
中袋には、表に金額、裏に住所と名前を記入し、記入後は中袋を香典袋に戻します。
最後に、香典袋の裏側は下から上へ順に折りたたむことが弔事のマナーですので、注意してください。
中袋なしの場合
中袋がない封筒タイプの香典袋の場合、お札を直接入れます。中袋がないことはマナー違反にはなりません。
中袋がない理由としては、以下のようなものがあります
- 香典が少額であるため
- 受付時に開封の手間を省くため
- 地域によっては「不幸が重なる」という意味を避けるため
お札を入れる際は、表を香典袋の裏に合わせ、もしお札が2枚以上であれば、その向きを揃えて入れるようにしましょう。
奉書紙を使う場合
伝統的な奉書紙を使用する際のマナーは以下の通りです。
- 奉書紙の表（ツルツルした面）を下に向けます。
- 紙を横向きに置き、左側に少し傾けます。
- お札を中央よりも左側に置きます。
- お札に沿って、下→左→右の順で折りたたみます。
- 残った上部を下に折りたたんで完成です。
奉書紙の表には金額を、裏には住所と名前を記入しましょう。
香典を入れるときの注意点
香典を入れる際には、お札の向きだけでなく、いくつかの重要な注意点があります。見過ごしがちなNGマナーを避けるため、以下のポイントをしっかり確認しておきましょう。
偶数や忌み数字を避ける
香典を包む際には、お札の枚数が偶数や忌み数字にならないよう注意が必要です。
お札が複数枚になる場合、偶数枚数は「故人との縁が切れる」という意味から避けるべきです。一般的に奇数枚が好ましく、特に「9枚」は「苦」を連想させるため、連名で香典を包む際には注意が必要です。
また、「4枚」は偶数であり、「死」を意味する忌み数字とされるため、複数枚のお札をまとめる際には避けましょう。
お札の枚数を調整する方法として、1万円を5千円札2枚にしたり、逆に5千円札2枚を1万円にしたりすることで、適切な枚数に調整することができます。
香典袋の封をしない
香典袋の封は、糊やシールで貼らずに開けたままにしておくことがマナーです。封を閉じることは避け、テープがついている場合でも、貼らないのが一般的です。
封をしない理由は、受付で香典を開ける手間を省くためですが、もし封を閉じたまま渡すことに不安がある場合は、スムーズに開けられるように軽く糊付けしたり、短めのテープで対応しましょう。
金額に見合った香典袋を選ぶ
香典袋は金額に見合ったものを選ぶことが大切です。金額に応じて香典袋の種類やグレードが変わりますので、以下を参考にしてください。
3千円～5千円の香典袋
香典が3千円～5千円の場合、水引が印刷された略式タイプの香典袋が適しています。
3千円の場合、中袋なしの封筒タイプを使っても問題ありません。
5千円の場合、中袋ありの多当折りタイプを選ぶことで、金額に見合った形式を保つことができます。
1万円～3万円の香典袋
香典が1万円～3万円なら、白黒の水引が施された香典袋がふさわしいです。
一部のアイテムでは、表書きの下に型押しで立体感を加えたものもありますが、格式は変わりません。
5万円～10万円の香典袋
香典が5万円～10万円の場合、銀の水引がかかった高級和紙の香典袋を選んで格式を上げましょう。
サイズが略式タイプよりも大きめで、ボリューム感も増します。
10万円以上の高額な香典の場合は、純銀の水引を使用した装飾性の高い香典袋を選ぶと、より格式が感じられます。
香典袋は、袱紗（ふくさ）に包んで渡す
香典袋は、袱紗（ふくさ）に包んで渡すことがマナーです。香典袋そのままで渡すのはマナー違反ですので、注意が必要です。
袱紗の包み方
- 袱紗の角を上にして、香典袋を中央に置きます。
- 右側を折り、次に下から上へ折りたたんで重ねます。
- 最後に左側を折り込んで包みます。
※もし袱紗に「爪」がある場合は、左側を最後に引っ掛けて留めます。
布タイプの袱紗に比べて格式は少し下がりますが、香典袋を入れる専用の袋型もあります。マナーとしては袋型でも問題ありませんので、袱紗を準備する際には袋型を選ぶことも一つの選択肢として考えてみてください。
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